新型コロナウイルスの感染拡大に伴う「蔓延(まんえん)防止等重点措置」の適用対象地域が拡大する中、全国の飲食店の客足が急減したことが20日、分かった。緊急事態宣言が解除された3月下旬以降、飲食店の客足は回復しつつあったが、都市部を中心に感染「第4波」が襲ったことで再び需要が冷え込んだ。ランチタイムは2019年比の全国来店人数で41.7%減、ディナータイムは同64.6%減となった。
規模の大きな飲食店ほど経営厳しく…
「繰り返される緊急事態宣言や蔓延防止措置による時短営業要請に、飲食店が振り回されている状況だ」。全国約7000店の飲食店のデータを持つテーブルチェックの担当者はこう話す。2020年4月の感染拡大「第1波」で東京を中心に飲食店の来店人数は2019年比で90.8%減とほぼ休業状態に陥った。ただ、その後は「第2波」の大きな影響もなく推移し、10月に飲食業の支援策「Go To イート」キャンペーンが始まると客足は上昇に転じた。
しかし、今年1月の「第3波」と2度目の緊急事態宣言で一気に客足が落ち込み、宣言が一部で解除された2月下旬からいったんは増加に転じたものの、蔓延防止措置により再び客足が急減した。
同社は「足元の感染者数も増え続けていることから、これから飲食店への客足はコロナ禍3番目の落ち込みになっていくことが予想される」としている。
緊急事態宣言に準じた対策を可能とする蔓延防止等重点措置の対象に、20日から埼玉、千葉、神奈川、愛知の4県が新たに加わり、東京、大阪などに加え適用は計10都府県となった。緊急事態宣言の対象地域が都道府県単位なのに対し、蔓延防止等重点措置は市区町村など特定の地域に絞った対策が実施できる。ただし緊急事態宣言では可能な休業要請ができず、「時短営業に対する補償が薄くなる分、多くの雇用を抱える規模の大きな飲食店、企業ほど経営が厳しくなっている」(担当者)。
ランチタイムは約4割減と、3分の1に減少したディナータイムほどの影響は受けていないが、ディナーに比べると客単価が低く利益率も下がるため、長期に及ぶ自粛に耐えている飲食店の経営状態を回復させる要因とはなりづらいという。
同社は「より詳細な飲食店の感染対策防止ロールモデルを示すなど、時短営業要請や緊急事態宣言にとどまらない柔軟な施策や対応を打っていくことが、政府や各自治体に求められているのではないか」と指摘している。