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無戸籍問題、実態把握に課題 積極介入の自治体が光となるか (1/2ページ)

 親の事情などで出生届が出されなかったため、戸籍のない「無戸籍者」の問題をめぐり、産経新聞社は自治体アンケートを行い、7割以上にあたる57自治体が無戸籍の住民を「把握している」と答えていた。こうした自治体の多くが、本人や家族が役所に来庁した際に情報を得ていたことが分かった。接触できない無戸籍者の把握という課題が残るが、先進的な自治体では、積極的に実態把握に務めるアウトリーチ(介入)に取り組むところもある。

 昨年9月に大阪府高石市の無戸籍の女性が餓死した問題では、生前、夫の死亡届を提出しようとした際に市側が女性の存在を把握したとみられるが、女性が無戸籍だとの情報は市内部で共有されなかった。

 無戸籍者を把握したきっかけ・経緯でもっとも多かったのは「出生届を提出した際に相談を受けた」(札幌、宇都宮、富山、和歌山、岡山の各市など)。「住民課への相談」(東京都足立区)「住所異動や子育て支援の窓口などに相談」(前橋市)といった回答も比較的多く、無戸籍者が何らかの理由で役所に来庁したことが把握のきっかけになっていた。

 横浜市や東京都板橋区などでは、無戸籍者の情報を得る可能性の高い部署に対し、接触した際は担当者に連絡するようあらかじめ周知しているという。また、法務局からの情報提供や当事者が裁判手続きを取ったことで把握できたとする自治体もあり、関係機関との連携を緊密にすることも重要だ。

 一方で、アンケートでは「接触する機会がない無戸籍者を把握することはできない」(相模原市)「相談の段階まで至らない無戸籍者がどのくらいいるかは把握できない」(甲府市)といった意見も複数みられ、こうした層にどのようにアプローチしていくかが課題として浮かび上がった。

 そうした中、兵庫県明石市は全国に先駆けて平成26年10月、専用の相談窓口を設置。市が把握していなかった無戸籍者からの申し出もあったという。担当者は「『ここに来たら解決できる』と示すことで声を上げやすくなる」と話す。

 また、「行政サイドから積極的に把握する必要がある」として、28年からは市内の妊婦全員と面談し、無戸籍になる可能性のある新生児がいる場合はどういった支援が受けられるかを説明している。大阪府高石市の問題を受け、今年1月からは無戸籍者からの相談に24時間対応する相談ダイヤルも設置した。

 知らぬまま不利益…無戸籍解消に自治体の支え欠かせず

 「自分たちは無戸籍なので助けを求められなかった」。昨年9月、大阪府高石市で無戸籍の女性が餓死した問題では、同居の息子が周囲にこう説明した。生活保護も受けていなかったという。無戸籍であれば行政・福祉サービスが受けられないと考え、窮状を訴えなかったとみられ、専門家は自治体などが総合的に支援を行う必要性を訴える。

 無戸籍であっても一定の要件の下、住民票への記載▽小中学校への就学▽児童手当の支給-といったサービスを受けることができ、パスポートの発行も可能だ。産経新聞社の自治体アンケートでも、無戸籍者に対して住民票を作成しているという自治体が多数に上った。とはいえ、それら必要なサービスを受けるためには無戸籍を解消する司法手続きをとっていることが前提となる。

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