宇宙開発のボラティリティ

ジェフ・ベゾスの使命「ロシア製エンジンからの脱却」とは? (3/3ページ)

鈴木喜生
鈴木喜生

「ニュー・シェパード」とBE-4は「ニュー・グレン」へのステップ

 自ら搭乗した今回の宇宙旅行の直前、ジェフ・ベゾスはアマゾン社のCEOを辞すことを公表した。しかし、氏はまだ57歳。ブルー・オリジン社のCEOもボブ・スミスに委ねているが、相変わらず両社の所有者である。

 そして、ブルー・オリジン社は現在も、米国の軍事衛星を純国産エンジンで飛ばすという使命を受け、BE-4エンジンの開発を進めている。このエンジンを2基搭載した新型ロケット・ヴァルカンは、2022年の初打ち上げが予定されている。

 また、ベゾスはこのBE-4をULA社に納品すると同時に、自社が開発を進める超大型ロケット「ニュー・グレン」にも搭載する予定だ。同エンジンを7基搭載した超大型ロケットニュー・グレンは、2段式、または3段式が選択でき、3段式であればその全高は95mとなる。

 スペースX社が開発中の超大型ロケット「スターシップ」は全高120m。アポロ計画で使用された「サターンV」は110.6m。今年11月に打ち上げ予定の「SLSブロック1」は98m。ベゾスのニュー・グレンが完成すれば、これらに継いて史上4番目に巨大なロケットとなる。ファルコン9と同様、切り離された第1段は自律帰還して垂直に着陸する、再利用型のロケットである。

 ニュー・グレンの第1段にはBE-4が搭載されるが、第2段には「BE-3」エンジンが搭載される予定だ。このエンジンは、ベゾス氏が搭乗した観光宇宙船「ニュー・シェパード」が搭載するエンジンである。つまり、ニュー・シェパードは、このニュー・グレンのための予行機といえるだろう。

 ニュー・グレンは当初2021年の初打ち上げが予定されていたが、そのスケジュールは今年2月、2022年の第四半期にスライドすることが発表されている。米フロリダ州のケープ・カナベラル宇宙軍基地の打ち上げパッドLC-36は、このロケットの打ち上げのために、すでにブルー・オリジン社へ長期レンタルされている。

出版社の編集長を経て、著者兼フリー編集者へ。宇宙、科学技術、第二次大戦機、マクロ経済学などのムックや書籍を手掛けつつ自らも執筆。自著に『宇宙プロジェクト開発史大全』『これからはじまる科学技術プロジェクト』『コロナショック後の株と世界経済の教科書』など。編集作品に『栄発動機取扱説明書 完全復刻版』『零戦五二型 レストアの真実と全記録』(すべてエイ出版社)など。

【宇宙開発のボラティリティ】は宇宙プロジェクトのニュース、次期スケジュール、歴史のほか、宇宙の基礎知識を解説するコラムです。50年代にはじまる米ソ宇宙開発競争から近年の成果まで、激動の宇宙プロジェクトのポイントをご紹介します。アーカイブはこちら

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