▼今後のライフプランを書き、やるべきことを確認
特に大きな課題はなさそうですが、強いてあげるとすれば、年収が高く、貯蓄額もあるのに、暮らしの満足度はさほど高くないことでしょうか。
老後への不安が満足度に影響しているのならば、解決策は現実的な見通しを立てることです。受け取れる年金や貯蓄額、いつまで働くのかをきちんと見通すことで、今取り組むべき課題もはっきりしてくるはずです。
タイプ6 「安心・安全タイプ」
▼安心を求めつつも、値引きを選ぶ。貯蓄に対する関心の低さが課題
タイプ6は、16番に該当し、他をあまり選ばなかった人です。「安心・安全」のみを重視していますが、安全のためなら「お金をかける」わけではなく、買い物では、「値段の安さ」や「値引率」が決め手となっています。
貯めている人の割合(年間貯蓄率)は48.4%と6タイプ中6位。「ムダ遣いが多い」のが悩みですが、貯蓄関心度も57.6%と他タイプより低めです。家計に対し、あまり前向きな気持ちを持っていないことが課題と考えられます。
▼小さな目標を書きだし、モチベーションを上げる
全般的に、家計に対するモチベーションは低いタイプです。ストレス源に「ゆっくりできる時間がない」が上がっており、家計に向き合う余裕がないのかもしれません。
貯蓄は、「貯めたい」と思う気持ちが第一歩。これまでの取材・調査でも、小さな目標をたくさん書き出し、可視化することは、モチベーションを高めるのに効果を発揮することが分かっています。小さな目標は、達成感を味わいやすいため、やる気の維持にも役立ちます。
満足度を上げるのは、貯め方よりも使い方
6つのタイプの中で、最も「使う」と「貯める」のバランスがよかったのは、〈タイプ1 高価格・長使い買い〉でした。平均年収と貯蓄額が〈タイプ1〉と近い〈タイプ5 造り・品質優先〉は、家計管理力は〈タイプ1〉より上ですが、暮らしの満足度では〈タイプ1〉を大きく下回っています。
両者の差を分けたのは、貯め方ではなく使い方。〈タイプ1〉は、「本当に欲しいものを買う」という価値観が高いことが特徴でした。
〈タイプ4 予算・比較優先〉も、予算ありきの生活を守っているのは立派ですが、暮らしの満足度は低く6位。もちろん、浪費がよいわけではありませんが、よい意味で、自分本位のお金の使い方ができ、値段や周囲に振り回されない人のほうが、お金に対する自信もつき、暮らしの満足度が上がることをデータは裏付けています。
どれほどたくさん貯めても、不安を消せず、思うようにお金が使えないのは残念。ときには、「本当に欲しいもの」をじっくり考え、思い切って買ってみるのも、大切なのかもしれません。
調査概要:2020年7月実施。対象者は全国20歳~64歳の男女900人。インターネットリサーチ。調査企画・データ提供:株式会社カクワーズ
※調査時の「貯蓄額」の定義:最近1年に収入から貯蓄した世帯の貯蓄額。預貯金のほか、積立投資、貯蓄型保険などへの積立額など含む(株などの資産は含まない)。同居でも親や兄弟の貯蓄額は含まないものとする。
※年間貯蓄率は最近1年で貯蓄ができた人の割合(わからない・答えたくないを除く)。
※平均貯蓄額は、最近1年で貯蓄ができた人の平均額。
【新時代のマネー戦略】は、FPなどのお金プロが、変化の激しい時代の家計防衛術や資産形成を提案する連載コラムです。毎月第2・第4金曜日に掲載します。アーカイブはこちら