教育・子育て

教員研修履歴を一元管理 都道府県単位でデータベース化 免許更新制廃止 (1/2ページ)

 文部科学省が教員免許更新制廃止後に導入を目指す新たな教員研修制度で、教員個別の研修受講履歴を管理するデータベースを都道府県の教育委員会ごとに整備する方向で検討していることが4日、関係者への取材で分かった。個々の受講実態を把握することで、効果的な教員育成を目指す。令和5年以降の新制度開始後にデータベースの共有を全国的に進め、研修の更なる充実を図る。

 教員の資質向上を目指して現在運用されている更新制では、各教員の更新講習の受講履歴を管理するシステムが未整備。7割以上の都道府県教委は教員のさまざまな研修履歴を個別に管理しているものの、更新講習についてはほとんど網羅されていなかった。このため、教員それぞれの課題に即した更新講習を実際に受講できているのか、実態を把握することが難しい状況にある。

 同省では現在、更新制廃止後の新たな教員研修制度を検討。新制度下では、研修履歴を教員個別で管理するデータベースの構築を目指している。

 新たなデータベースはまず、新制度開始にあわせて都道府県教委ごとに整備する。市区町村教委に加え、校長や教頭といった各学校の管理職もアクセス可能にする方向で調整していく。特に校長らが個別の受講状況を把握することで、各教員の長所を伸ばし弱点を補強する“オーダーメード”な育成を進めることを視野に入れている。

 データベースには新制度下の研修のほかにも、更新講習を含む制度開始前の各種研修の受講履歴を蓄積する。制度開始後、環境が整い次第、データベースを全国的に共有できるようにする。

 同省では今後、データベースで管理する情報の範囲などを検討。新制度に必要な法整備を行いつつ、都道府県教委に対しデータベース構築に向けたガイドラインなどを提示するとみられる。同省では更新制廃止に必要な法改正を来年の通常国会で行い、早ければ5年に新制度を始めたい考えだ。同省幹部は「各教員にとって本当に必要な研修を受けられる制度を目指したい」としている。

 「必要な研修」校長命令で

 文部科学省が教員免許更新制の廃止を決断した背景には、更新講習の効果的な運用に失敗したことへの反省がある。新たな研修制度下では校長の職務命令で、実力の備わっていない教員に必要な研修を受けさせることを想定。各教員の資質向上に必要な学びの機会を積極的に設ける考えだ。

 更新制は教員免許に10年間の有効期間を設ける制度で、期限前の2年間のうちに30時間以上の講習を受けて修了する必要がある。しかし、同省幹部が「体育の先生が国語の講習を受けても更新可能」と指摘するように、「30時間」の実績さえ積み上げさえすれば、各教員にとって効果的な講習を必ずしも履修する必要はなかった。

 同省が今年4、5月、現役教員約2000人に行ったアンケートでも制度のずさんな実態が明らかになっている。講習を選ぶ際に重視する点を聞いたところ、「とても重視する」の割合が最も高かったのは「受講会場」(61・3%)。「受講時期」(57・4%)、「講義内容」(40・7%)と続いた。

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