「『体が楽になるよ』と友人に勧められ、せき止め液を一気飲みした。最初は遊び半分だった」。薬物依存症の回復を支援するリハビリ施設「八王子ダルク」で生活支援員を務める男性(49)は20歳から20年間、せき止め液の乱用を続けていたと打ち明ける。
集中したいときや、眠気覚ましに服用するようになり、常習化。多い日は2時間置きに2本ずつ服用することもあった。「薬が切れると、落ち込んだり、逆にイライラしたり、体に虫がはう感覚になることもあった。薬を飲んでいるときだけ、普通になれた」
気分の浮き沈みが激しくなり、自殺未遂も繰り返すようになった男性は、治療を受けながらダルクに入所。依存症を克服した現在は経験者の立場から、依存症患者を支援している。
埼玉県立精神医療センターの成瀬暢也副院長によると、若年ほど依存症に陥りやすく、周囲に相談できないまま「孤独な自己治療」として薬物を使用し、いらだちや不安を解消。繰り返すことで耐性ができ、数量が増えていくという。
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東京・歌舞伎町にある薬局。せき止め薬「ブロン錠」の陳列棚には「お一人様一個限り」「未成年の方には保護者に確認を取らせていただきます」と注意書きが貼られている。ブロンはアヘンに含まれるコデインや覚醒剤の原料であるエフェドリンなどが成分で、こうした情報が会員制交流サイト(SNS)などで共有されている。