「愛される自動車メーカー」へ
だがトヨタが新たに始めた「SUV事業性」は、これまでの販売から乗り換えまでの流れをさらに広げる。
ユーザーの立場になるとわかりやすい。「購入者→クルマを愛車に育てる→ともに過ごす→仲間ができる→もっと好きになる→競い合う→乗り換える」というライフサイクルの中に、クルマのモディファイを楽しんだり、日々愛車として触れ合い、共通のクルマ好きが集うことで仲間が増えたり、あるいは自動車競技に参加することもあるだろう。
ともすれば無機質な移動手段であるクルマが、生活の一部になり、クルマが媒介となって生活が豊かになることも考えられる。購入から乗り換えまでのクルマのある生活を企画しようというのが「SUV事業性」なのだろう。
特にSUVは、無機質な移動手段とはやや異なる趣味性がある。だからこそ、SUV事業性には意義があるような気がした。クルマを販売するのではなく、クルマのある文化を創造する。ミッドサイズカンパニーは、愛される自動車メーカーとしての一歩を踏み出したのかもしれない。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。YouTubeの「木下隆之channel CARドロイド」も随時更新中です。