COP21来月開催 温暖化防止新ルール 目標表明150カ国

Q&A

 各国が協力して地球温暖化を防ぐための国際ルールを決める会議(COP21)が1カ月後にフランスで開かれます。

 Q なんでCOP21というの

 A 「条約に参加する国々の会議」を意味する英語の頭文字で、今回が21回目です。1994年に国連の気候変動枠組み条約が発効してから毎年開かれています。COP21で合意が期待される新ルールは、経済や生活に大きな影響を与えるため関心は高く、国や企業、研究者、非政府組織(NGO)など約4万人が集まる見通しです。

 Q なぜ新しいルールが必要なの

 A 温室効果ガスを減らす仕組みとしては先進国に削減目標を義務付けた京都議定書がありますが、排出量で世界のトップを争う中国や米国が目標を持たなかったため、十分な効果が得られませんでした。議定書ができた後も、世界全体の二酸化炭素(CO2)の排出量は増える一方で、温暖化に関係するとみられる異常気象も世界で多発しています。このため全ての国が参加する新しいルールをつくろうとしているのです。

 Q 今はどんな話し合いが行われているの

 A 19日からドイツのボンに各国の交渉官が集まり、COP21での最終合意に近い文章をまとめようと議論しましたが、大きな前進はありませんでした。より多くのCO2を排出してきた先進国と、発展途上国の取り組みにどういった差を設けるか意見が対立したのです。ただ世界の約150カ国が既に、新ルールの中核となる国別の削減目標を表明し、合意に向けた機運は世界的に高まっています。各国は今後もさまざまな外交の場で議論を続けます。

 Q どんなルールになりそうなの

 A 国連の科学者組織は、深刻な被害を避けるには気温上昇を2度未満に抑える必要があり、そのために今世紀末の温室ガス排出量を実質ゼロにしなければならないと警告しています。しかし厳しい削減が義務付けられると参加しない国が出てくる心配があります。このため新ルールは、各国が自主的に削減目標を設定し、達成に向けて努力するという緩やかなものになる見通しです。ただこれだけでは全体の削減量が足りなくなる恐れがあるため、互いの目標を評価し、より高い目標に引き上げるための仕組みを検討しています。

 Q 日本への影響は

 A 日本は2030年までに温室ガスを26%削減するという目標を発表しています。実現に向けて、再生可能エネルギーの大幅導入や省エネが必要です。また日本はCO2排出が多い石炭火力発電所の建設を国内外で進めようとしていますが、世界の流れに逆行しており、今後見直しが求められるかもしれません。

 ≪選択肢乱立 草案は詰め切れず≫

 地球温暖化対策の新たな枠組みを議論するためドイツ・ボンで開かれていた気候変動枠組み条約特別作業部会は23日、11月末からの締約国会議(COP21)での政治的合意の土台となる草案を詰め切れずに閉幕した。

 温室効果ガス削減の在り方や発展途上国への資金支援など、多くの論点で各国の主張は対立したまま、COP21に重要課題を先送りにする形となった。

 会議は、事前に共同議長が示した20ページの議長案を基に議論が進められた。最終的にできた草案は55ページに膨れ上がった上に、重複表現も多く、COP21に参加する閣僚らに政治決断する土台としては、不十分な内容だ。各国は条約事務局に対し、COP21までに重複する部分を抜き出して整理するよう指示した。

 フィゲレス条約事務局長は閉幕後の記者会見で「各国によって文書ができたのは良いニュースだが、55ページの簡潔でない草案になったのは悪いニュースだ」と不満を表明した。

 19日から始まった会期中、発展途上国を中心に、自国の主張が反映されていないとの不満が噴出。先進国が途上国の温室効果ガス削減や被害軽減のために資金を出すように求める提案など、出来上がった草案は多数の選択肢が乱立した。

 各国は、11月末から約2週間、フランスで開催されるCOP21の前半で今の草案を最終合意に近い形に整え、後半で閣僚レベルの交渉をする予定。日本政府の交渉担当者は「時間がなくなってきた」と話している。(共同/SANKEI EXPRESS