飛行機で東京から大阪まで旅する際に楽しみにしていることがある。富士山を眼下に眺めることだ。大地から富士山が形よく盛り上がっていて、稜線(りょうせん)の美しさにいつも見とれてしまう。
その富士山が世界文化遺産に登録されることが決まった。行き過ぎた山麓開発やゴミ問題などのため、自然遺産での登録が困難視され、静岡、山梨両県の関係者らは、山岳信仰や浮世絵などを通しての世界的知名度に着目した文化遺産としての登録に賭けてきただけに、喜びはひとしおだろう。
富士山の世界文化遺産登録決定を受け、ホテル・旅館、旅行業者などの観光業界はじめ、地元商店街はさまざまなツアー企画や記念商品を発売し、集客に余念がない。
しかし、問題はこれ以上の登山者が内外から押し寄せても大丈夫だろうかということである。環境省によれば、7月1日から8月31日までの夏山登山者は2008年に30万人を超えて以来、毎年ほぼ30万人前後で推移しており、ピーク日には登山者が1万人を超える状況になっている。