メタボリックシンドロームでは、血糖値が高い状態が続いたり、肥満になって脂肪細胞から悪玉アディポサイトカインの分泌が続いたりします。そういった状態では、大量のインスリンが常に血液中を流れているときにはインスリンへの応答が鈍くなり、膵臓(すいぞう)が疲れ果ててインスリンを作れなくなるとインスリンが減少していきます。
こういった脳内のインスリンの相対的不足状態そのものが、動脈硬化などを介さずに、直接アルツハイマー病の増悪因子となることが注目を集めています。米国の一般向け雑誌リーダーズ・ダイジェストに最近、この状態を「3型糖尿病」として紹介する記事が掲載されていました。脳内での「糖尿病状態」が脳をむしばんでいくということに、米国民の関心が集まっていることが示されています。
オバマ大統領も脳科学分野を「21世紀の偉大なる挑戦」とよび、多額の予算を組んで研究を推し進めようとしています。まさに、本邦の脳プロが研究しているテーマと同じです。日本はガレキの中から頭脳を使って再興を果たしました。これから先進国は、脳科学の時代になっていくことでしょう。
(秋葉原駅クリニック院長 大和田潔/SANKEI EXPRESS)