本件に関しては、露連邦保安庁(FSB)や保守系の議員、さらに世論が、米国政府に叛旗を翻したスノーデン氏に同情的で、庇護(ひご)を与えるべきと主張していた。しかし、「元インテリジェンス・オフィサー(諜報機関員)という言葉は存在しない」(インテリジェンス機関で勤務した者はその職を離れても一生、国家のために尽くすという掟(おきて)に縛られるという意味)。しばしばこう口にする元KGB(ソ連国家保安委員会)将校のプーチン大統領がスノーデン氏に対する忌避反応を示していたために、入国が遅れていた。プーチン大統領は、スノーデン氏がロシアに入国せずに、中南米のいずれかの国に亡命することで軟着陸を図ろうとしていたと筆者は見ている。
国内の治安問題懸念
しかし、米国がエクアドル、ベネズエラなどスノーデン氏の亡命を受け入れる可能性がある諸国に強い圧力をかけている状況で、このシナリオが近未来に実現する見通しがなくなった。また、米国がロシアに対してスノーデン氏の引き渡しを強く要請している状況で、これ以上、長期にわたって国際線の乗り継ぎエリアに留め置いていると、ロシアと外国の人権団体からプーチン政権の対応が非人道的であるとの非難が高まる可能性がでてきた。