ロシアの人権団体と西欧のスノーデン氏を支援するアナーキスト系グループが連携してプーチン政権に対する異議申し立て行動を行う可能性もある。そうなるとスノーデン氏に対する処遇をめぐる異議申し立てが、プーチン政権による人権弾圧に抗議する運動と結びつき、国内治安上の問題になる危険性もある。これらのことを総合的に判断して、プーチン大統領もスノーデン氏の入国にしぶしぶ同意したのだと筆者は見ている。
FSBはこの機会を利用して、スノーデン氏から徹底的な聴取を行いNSA(米国家安全保障局)とCIAのシギント(通信、電磁波など信号を媒介とするインテリジェンス活動。合法、非合法の通信傍受が活動の中心になる)に関する技術情報の入手につとめるはずだ。当然、米露関係は悪化する。また、スノーデン氏がウィキリークス関係者と連携し、反米活動をする可能性も排除されない。しかし、そのような状況について、深く考える余裕がないというのがロシア政府の現状と筆者は見ている。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS)