筆者のところに入ってきた複数の信頼できる情報によると、朱教授は7月18日夕刻から国家安全部の監視下に置かれ、外部との連絡を遮断されているということだ。どうも日本の政府機関に中国の秘密情報を流したという嫌疑がかけられているようだ。朱教授の政治的立場は、中国政府に近い。評論家の中では朱教授を「中国政府の代弁者だ」と批判する人もいる。筆者の理解する朱教授は、中国の愛国者である。それだから、いかなる状況においても自国政府の立場をできるだけ日本人に理解させることに発言の力点を置いていた。
この点では、筆者がロシア人と議論するとき、「日本政府の主張にはちょっと無理があるなぁ」と思っても、日本側の主張の弱い部分については適宜、体をかわし、強い部分を前面に出して議論するのと似ている。国際問題や外交の評論に「純粋中立」の立場などない。自国の立場をおのずから擁護するようになるというのは、国民国家体制の中で生きている有識者としては、当然の態度と思う。