沖縄の帰属に言及した人民日報の5月の論文をめぐっては、菅義偉(すが・よしひで)官房長官(64)が「全く不見識な見解」と抗議したものの、中国側は「研究者が個人の資格で執筆した」と、どこ吹く風だった。
中国は軍事戦略上の海上ラインとして、沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」内の制海権を2010年までに握る計画だったとされる。沖縄の日本帰属を明確に否定した今回の記事は、そうした中国の野心を改めて見せつけた格好だ。
この世論戦は少なくとも中国国内では一定の成果を上げている。5月下旬、中国のエリートが集う北京大学で、沖縄の帰属をテーマにした講演会が開かれた。
講演者は台湾中央研究院近代史研究所の林泉忠(りん・せんちゅう)・副研究員。林氏は基本的に、沖縄の日本帰属の正当性を否定する論調には反対の立場だ。しかし、会場で行われた挙手アンケートでは、「琉球(沖縄)の独立運動を中国は支持すべきか」との問いに、回答者の7割近くが「支持すべきだ」と回答した。