多田は「韓国人同士でも歴史観は違っています。彼らはその事も了解していて、稽古場でのディスカッションは非常に有意義でした。ただ、観客に向けては日本人として何をするのか、誤解されないためにどう工夫するかが一番難しかった事でもあり、手応えがあった部分でもあります」と語る。
物語は過去の設定だが、現代性も盛り込まれる。劇中の音楽はK-POPも日本のPerfumeも使われる。
「今回は、その歴史問題と現在の関係を同時に舞台上に上げるということをやっています。歴史も、2013年も、両方とも現在存在するもの。どちらかに偏る事なく、歴史と現在を踏まえて、未来のことを考えてもらいたい」
幸せを考える芸術
多田の活動は東京を拠点とせず、地域や演劇教育へ力を入れているのも特徴だ。公共文化施設の演劇部門では最年少で芸術監督に就任し、海外との共同製作も多い。