≪「流される」暗闇の中、柱にすがる≫
轟音(ごうおん)とともに大量の土砂が室内に流れ込み、部屋の柱に必死でしがみつく-。被災者の証言を基に、当時の状況を再現した。
大島町元町地区の阿部吉恵さん(80)は午前3時前、自宅に土砂が流れ込み身体が5メートル近く流されたが、部屋の柱にしがみついた。「真っ暗だった。もう駄目かと思った」
夫の久左志さん(83)は吉恵さんの悲鳴で目が覚めた。「流される」。起き上がろうとしたが体が動かない。布団の上には土砂が。「大丈夫かー」。必死に叫ぶ。「大丈夫」と吉恵さん。
「助けを待とう」。2人はめちゃくちゃになった部屋のテーブルの上に座り、身を寄せ合いながら夜明けを待った。
氾濫した川のすぐそばに住む藤井勝夫さん(88)は、妻と自宅で寝ていたら「ドーン」という音とともに水が入ってきた。ベッドが水で浮き上がる。妻の手を引き、水をかき分けて、やっとの思いで玄関へ。ドアをこじ開け、隣に住む被害のなかった孫の家に逃げた。(SANKEI EXPRESS)