住民の多くが避難して暮らしている高台のタラワは人口過密状態にある。海岸の浸食や下水インフラの不備から水源の地下水に塩水や下水が流入し、真水の確保が困難になるなど厳しい生活を強いられている。
国連の気候変動に関する機関は先月(9月)、今世紀末には海面が最大82センチ上昇するとの予測を公表しており、専門家たちは将来、環境難民や環境亡命が増大すると警告している。
ただ、各国の法律だけでなく、国連難民条約も気候変動による難民は想定しておらず、勝訴の可能性は小さいとの見方が多い。オークランド大学のビル・ホッジ准教授は米メディアの取材に、「彼らはNZを脅しているだけだ。法律は個々人のリスクではなく、全体的なリスクに基づき難民を認定している。彼らは強制送還になるだろう」と語った。
「国民が生き残るため、あらゆる可能性を探している」。以前、本紙の取材にこう語ったトン大統領は、移住を視野に海外での土地購入を決めるなど、対応を急いでいる。(SANKEI EXPRESS)