2008年にモルディブを訪れた中国人旅行者は約4万人だったが、年々増えて12年には5倍超の約23万人に。今や諸外国の中で最も多い約25%のシェアを占める。中国からの直行便は現在、週25便に上る。
モルディブ観光をPRする政府公社のモハメド・アダム社長代行は「かつて主流だった欧州の旅行者がリーマン・ショックで減った後、中国市場に積極的に売り込んだ成果だ」と胸を張った。
流入しているのはヒトだけではない。島国で輸入に頼るモルディブには、繊維や鉄鋼製品から電化製品、携帯電話まで中国産製品の輸入が増加。02年の輸入総額は300万ドル(約3億円)だったが、11年には6900万ドルに達した。
マレの輸入商社「ビスタ・カンパニー」のムーサ・ラシード社長は「この10年間で中国はアクセスしやすくなり、英語を話す輸出業者も増えた。何より価格が安いのが魅力だ」と指摘する。
ビスタ・カンパニーは、建築工事の足場用の鉄パイプなどを中国から輸入。かつて主要な輸入先だったインドよりも2割ほど安く、ラシード社長は年2回、中国での貿易フェアなどに足を運んで商談をまとめてくるという。