【安倍政権考】
小学生の頃、学研の学習漫画「ひみつ」シリーズが大好きだった。繰り返し読んだ「できるできないのひみつ」では、地球を貫通する穴を使って、アルゼンチンに荷物を届けることができるのかという疑問に答えてくれた。
こんな古い漫画のエピソードを思い出したのは、集団的自衛権の行使容認をめぐる議論で「地球の裏側」という言葉が出てきたからだ。
「地球の裏側まで行って米国と一緒に戦争するのか」
憲法改正も集団的自衛権の行使も認めない「一国平和主義」陣営がこんなプロパガンダを持ち出すのは想定の範囲内だったが、政府・与党の中でも大真面目な論争になったのには驚かされた。
切りのない定義
発端は防衛省出身の高見沢将林(のぶしげ)官房副長官補が9月19日に自民党の部会で発した一言だった。
「あらかじめ具体的な状況が分からないのに、『地球の裏側に行けない』という性格ではない」
この発言が波紋を広げ、翌20日には、小野寺五典(いつのり)防衛相が記者会見で「地球の裏側を想定しているわけではない」と、“否定”した。