ある豪華客船が航海の途中、事故で沈み始めた。もう海に飛び込むしかない。船長は皆にこう言った。
イギリス人には「飛び込むのが紳士です」。ドイツ人には「飛び込むのがこの船の規則です」。イタリア人には「飛び込めば女性にもてますよ」。日本人には「みんな飛び込んでますよ」。
国民性を表現した有名なジョークです。多くの日本人は、この「みんな~している」論法に弱いようです。
例えば、「体重が気になる人への朗報。このサプリメントを飲んだ80%の人に体重減の効果がありました」。あるいは、もっと直接的な表現で「皆さんAをお選びになっています」。私たちは、80%や皆さんといった言葉を聞くと、自分もその選択をしないとグループから取り残されるとの心理がはたらき、他の人と同じ行動をとってしまいます。
この論法は、特に日本人を説得する時に有効です。説得が上手な人は、これに加えて相手を褒め、さらにメリットを伝えます。「茂木さんはたくさん素晴らしい仕事をしていますので、頭の切り替えにこのスーパーマムシドリンクが最適です。知的な仕事をしている方は皆さん飲んでいますよ」。「あっ、そうですか、それでは2ダースください」となるわけです。