「従来の美術史が塗り替えられるほどの価値がある。世界中の美術史家が、有名画家の伝記を書き換える準備に入っているだろう。今回の作品だけで多くの美術館ができる」
英BBC放送の美術担当編集者、ウィル・ゴンペルツ氏は興奮気味にこう伝えた。
即席麺に埋もれて
発見された作品も衝撃的だが、発見にいたる経緯も驚きの連続だった。
欧米メディアの報道によると、これらの絵画はナチス政権下で暗躍した美術品ディーラー、ヒルデブランド・グルリット氏の息子、コルネリウス氏(80)が住んでいたミュンヘン市内にある古いアパートで昨年2、3月に発見された。
ことの発端は、2010年9月。スイスのチューリヒからミュンヘンに向かう特急電車の中で、ドイツの税関職員がコルネリウス氏の持ち物から9500ユーロ(約126万円)の札束を発見した。不審に思った税務当局が捜査を始め、脱税容疑でアパートを捜索し絵画を発見した。