「世の中には何としても『子供を産む』という願いをかなえたい女性もいるでしょう。もちろん私にもその気持ちは分かります。でもそこに執着し過ぎてしまうと、視野が狭くなってしまう。時間もどんどんと過ぎていく。でも、人間が自分にないものを欲しくなるのは当たり前のこと」。今でも明確な答えを出せたとは思えない。ただ、永作は、監督のアドバイスの通り、まずは肩の力を抜いて撮影に臨むことにした。
働く母の背中見せたい
誰かに愛されていることを確信できれば、人はときに思いがけないほど強くなれるものだと、本作は気付かせてくれるだろう。物語の終盤、自分なりに悩み苦しんでいた浩之が百合子に意外な提案を持ちかけ、2人が再びなんらかの結論へ向けて進み始めることを暗示させる場面からは、百合子の心に芽生えた余裕がみて取れる。「別居する原因の一つには、自分が心を閉ざし、だんなさんを窮屈にさせてしまったことにあると、百合子は察することができたと思うんですよ。仮に私が同じシチュエーションにいたならば、もう一回やり直してもいいかな」。永作は百合子の心の成長をこう見てとった。