総合格闘技団体「リングス」CEO、前田日明(まえだ・あきら)さんは「僕は一匹狼ではなく、虎を目指している。一匹狼は群れにいると害になるから追い出されただけでしょう」と語る=10月18日、東京都渋谷区(小野淳一撮影)【拡大】
かつてプロレスラー、プロ総合格闘家として一世を風靡した前田日明(まえだ・あきら、54)は数年前、知人に誘われ、九州の腕自慢がこぞって出場するアマチュアの総合格闘技大会「天下一武道会」を観戦した。腕自慢といえば聞こえがいいが、出場者はけんかっ早い「不良」の若者たちばかり。大会は前田にとって思いがけない出会いの場となった。
うそ偽りのないものを見たい
プロの世界で求められるのは実力ばかりではない。選手としてキャラが立ち、華があり、カリスマ性があることも重要な要素となる。「天下一武道会に出場した子供たちは全員、華もカリスマ性もあるんですよ。いわば、みんなが(伝説的な米ヘビー級ボクサー)モハメッド・アリのようでした」
前田は2008年3月、アマチュア選手による総合格闘技大会「THE OUTSIDER」をプロデュースした。「不良」とされる若者に大会を通して更生の道を準備する一方、優秀な選手についてはメジャーな大会で活躍できるようプロデビューのバックアップに乗り出した。チケットは瞬く間に売り切れ。大手レンタルビデオ店の格闘技コーナーでは、大会の模様をおさめたDVDが貸し出しランキング1位から8位まで独占したこともある。「人はうそ偽りのないむき出しのものが見たいんですよ」。前田は人気の理由を分析してみせた。