この不満は日本へのメッセージをめぐってでないかというのが筆者の見立てだ。今回の韓露共同声明における「(韓露)双方は最近、歴史に逆行する言動が障害となり、北東アジア地域の強い協力潜在力が実現しないことに関し、共同の憂慮を表明した」という文言は、韓国の執拗(しつよう)な要請に応じたものだ。
ロシアとしては共同声明が合意に至らずに決裂し、韓国との関係が極度に悪化することを避けるためにこの文言を入れることにしたのだと筆者は推定している。そして、「私は合意文書作成過程を含め、今回の韓国の対応には強い不満を持っている」という認識を可視化させたのであろう。
韓国の強引な姿勢がプーチン大統領の神経を逆なでしたと筆者は見ている。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS)