完全防水の先駆け
ヘルノは1948年、マジョーレ湖のほとりにある人口数千人の村「レーザー」でレインコートブランドとして誕生。近くに流れる美しい川「ERNO(エルノ)」に「H」を足して、社名をヘルノとした。
ウオータープルーフ素材を見かけることすらなかったその時代に、創業者のジュゼッペ・マレンツィ氏はひまし油を使うことで完全防水されたレインコートの開発に成功。その後もウールコートやスーツなどを発表し、50年代後半にはその名を少しずつ海外にも広めた。
ブランドの拡大とともに技術力を支える職人の育成にも力を注ぎ、デザイン性とモダニティーの両方を確立させた高級メゾンとして広く知られるように。日本でも60年代後半ごろから扱われるようになり、最高品質のウールコートブランドとして知られ、富裕層を中心に根強いファンを増やした。
伝統に新しい息吹
そんなヘルノにとって最大の転機となったのが2007年、ジュゼッペ氏の息子であるクラウディオ氏のCEO(最高経営責任者)就任だ。クラウディオ氏はそれまで培った技術を最大限生かし、ナイロンを使った軽量のダウンコートを開発した。