「素人の子供がプロの子役に『お前は最低の役者だ』と言って泣かせたり、プロの子役が撮影の仕直しを面倒くさがってやらなかったり、撮影は修羅場でした」と苦笑いするヤセミン・サムデレリ監督(エスパース・サロウ提供)【拡大】
意識して楽しい作風に
帰属意識、労働問題、外国人の排斥をもくろむ政治勢力の存在…。トルコ系移民のテーマを掘り下げれば、必ずどんよりとした重たい諸問題に突き当たるものだが、サムデレリ監督は「意識して楽しい作風に仕上げた」という。理由は自身が理想と考える映画監督としての矜持にある。「私は映画制作者として観客を退屈させる映画が一番いけないと考えています。テンポを大事にしたい。早すぎても遅すぎてもだめ。場面の構成もね。一緒に脚本を執筆した妹(ネスリン・サムデレリ)と50回も書き直したぐらいですから」
トルコ系移民のお話がドイツ国境を越え、世界各国でも高い評価を得たのはなぜだろう。「きっと家族のあり方が問われているからだと思います。それは世界共通の関心事ですもの」。ちなみにサムデレリ監督の次回作は、50年連れ添った夫婦がどのように関係を築いていったかをひもとくドキュメンタリーだという。11月30日から東京・ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。(高橋天地(たかくに)/SANKEI EXPRESS)