実際、現在も久慈以北で活動する海女はいる。北海道松前(まつまえ)町の石山ヨネ子さん(79)だ。もともと海女がいなかった町に戦後、石川県輪島から出稼ぎで来て、そのまま住み着いた特殊な例だ。沖合の無人島に渡って潜るが、後継者はおらず1人で続けている。
久慈は観光として成功
一方、青森、秋田両県ではもはや海女は確認できない。階上漁協の荒谷組合長は「後継者不足で次第に消えていったのだろう」と指摘する。
では久慈の海女だけがなぜ、まとまった形で残ったのか。市の担当者は「海女文化を広く伝えるための観光海女として成功した」と強調する。「北限の海女」の愛称についても、59年の同名のラジオドラマを挙げ、「北限を調査しているわけではなく、いつの間にか定着した」と説明する。(SANKEI EXPRESS)