晩秋。よく晴れた日。房総半島奥地の城下町、大多喜(おおたき)町に向かった。JR京葉線と外房線を乗り継ぎ、大原駅で下車。ローカル線のいすみ鉄道に乗り換える。切符を求めようとすると、売店のおばさんが声をかけてくる。
「どちらまで行かれるのですか」
「大多喜です」
「往復するのなら、こちらがお得ですよ」
1日フリー乗車券。1000円。なんだが、旅の始まりからしてローカル線ならではのふれあいを感じる。
いすみ鉄道の前身は旧国鉄木原線。現在は大原駅-上総中野駅間約27キロを運行する。
黄色い列車に乗り込んだ。1両編成。青い制服、制帽のベテラン運転士と、中年の見習い運転士の2人組。乗客は8人だった。
いすみ鉄道は、独特の運転士養成コースを考案した。運転士志望者を公募して訓練する。条件は訓練費用700万円を自己負担。かなりの出費だが、鉄道少年だったころの夢をかなえたいと応募者は多いという。この見習い運転士もその1人なのだろうか。がんばれ。がんばれ。無言でそっと応援する。