ハリウッド映画への出演は4作にのぼる。名だたる日本の映画監督の下で演技を磨いた駆け出し時代の90年代に比べ、今では撮影に臨む心構えがまったく違うものとなっていた。浅野が真っ先に挙げたのは、いつの間にか身についた「公開後に必ず数字で結果を出さねばならない」という危機感だ。
「僕が出演したハリウッド作品はビッグバジェットを投入した大作が多く、関わる人は、どんな小さな役割しか担わない人でも『結果を出さなければ明日はない』という意識が染みついていました。作品のヒットという目標に向かって妥協は一切ないのです。とても勉強になりましたね」。自分を含め、ほとんどの日本人俳優が英語を話せなかったとはいえ、リンシュ監督からは容赦ない注文が次々と飛んだ。リンシュ監督は演技で必要とする情感を正確に理解させようと、英語のセリフを日本語に直したうえで浅野たちに読み合わせさせたほどだ。