そんな息子は母がスイスにある幇助自殺を介助する協会の会員で、申請書にサインまでしていることを知り愕然(がくぜん)とする。(幇助自殺を介助する協会は実際にスイスに存在し、そのNPOがこの映画に登場する施設や団体のモデルになっている。また尊厳死と安楽死についての日本と欧米の解釈にも違いがある。私自身、幇助自殺を介助するということについて初めて考えさせられた。劇場で販売されるパンフレットも参考になるだろう)
ファーストシーン。車窓に見入るアランの横顔の少し不安げな表情を数秒間見るだけで「キター! 名俳優!」と叫びたくなるほどヴァンサン・ランドンの演技が光る。続いて母親イヴェットを演じるエレーヌ・ヴァンサン(70)のリアルな存在感に、この作品が錚々(そうそう)たる役者陣のしのぎを削る演技によって退屈とは無縁のものであることを確信する。そしてふくらむ期待は最後まで裏切られることがない。