ジャンプで着氷する右足を9月に痛めた影響か、加点をもらえる美しいジャンプや演技のスピードは戻っていない。それでも持ち前の情感豊かな滑りで、演技構成点ではスケート技術と音楽の表現の2項目で高得点の9点台を出した。加点される演技後半のジャンプで2連続、3連続を決め、スタミナ不足への不安も一蹴した。
「大会が違えば、ジャッジも違う。得点は同じ試合で戦ったときに比べるべきでしょ」
浅田と比べられることにはもう慣れっこだ。格が落ちる小さな大会での得点なのは分かっている。互いに「現役最後」と覚悟を決めた今季、ソチのリンクで初めて同じ舞台に立つはずだ。
「今回の五輪は金メダルが一番の目標じゃない。いかに美しくスケーター人生の幕を引けるか」と、金妍児は話した。もちろん勝負師の本音ではない。
今大会前の会見では、「10年間、ライバルの関係。彼女の存在が今の自分の演技に力を与えるモチベーションになっている」と、穏やかな表情ながらも浅田への強い思いを吐露した。「浅田真央がいなかったら今の私もいなかった」と口にした金妍児の言葉は、きっと浅田にとっても同じだろう。