秋の盛りに=2013年11月17日、東京都あきる野市(野村成次撮影)【拡大】
紅葉の盛りに、東京都あきる野市の養沢川に沿った道を歩いた。今年の紅葉はイマイチとか聞いたが、なかなかどうして見事なものだ。途中で出会った人も「今年はいいですね」と喜んでいる。竹で編んだカゴを背負ったばあちゃんがいた。奥多摩で時々、こういったスタイルの人に出会う。山の畑に行く人や、落ち葉を集めて堆肥にする人だ。おばあちゃんがつぶやいた。
「畑の野菜を見てきたの」
「でも早く帰ってきた。だって昼過ぎから、亡くなった島倉千代子さんの追悼番組があるのでね。ファンだったのよ」
「お気の毒だね。まだまだ活躍してほしかったのに。新宿の劇場まで聴きに行ったことがあるよ。美空ひばりさんも、北島三郎さんも聴いたよ」
女性に年齢を聞くのは失礼だがおいくつですかと問えば、「島倉さんよりちょっと下」と笑っていた。真偽のほどは知らない。
このばあちゃん、「人生いろいろ…」と農作業をしながら歌っているのだろうか。小生に少しばかり歌唱能力があればデュエットするんだけれど。「あれがあれが九段坂…」。ばあちゃんだって紅白歌合戦で、この「東京だョおっ母さん」を聴きたかっただろうな。