2008年公開の「007慰めの報酬」でも、ジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)が飲むのはやはりマティーニ。007を象徴する一場面だが、ボンドの飲酒量が尋常でないことが分かった(AP)【拡大】
世界的に有名なスパイ映画「007」の主人公であるMI6(英情報局秘密情報部)所属の敏腕スパイ、ジェームズ・ボンドが実在していたならば、お酒の飲み過ぎによる肝硬変によって56歳で死んでいただろう-。英の研究グループが12日、こんな研究結果を発表し、欧米で話題を集めている。原作小説を基に彼の過去の飲酒習慣を調べたところ、1週間のアルコール量は736グラム(ビール中瓶に換算して37本)で、医師の推奨量の何と約4倍。それでも果敢(かかん)に任務を遂行した彼を「黄金銃」ではなく「黄金の肝臓を持つ男」と結論づけている。
12作で飲酒123.5日
米CNNテレビや英BBC放送、米紙ロサンゼルス・タイムズ(いずれも電子版)などによると、英ロイヤル・ダービー病院の救急医療部門に勤務するグラハム・ジョンソン医師らの研究チームが、英国医師会雑誌(BMJ)のクリスマス版で発表した。
ボンドがバーでおしゃれにカクテルなどを楽しむ場面は映画ファンなら誰もが知っている。
とりわけ「ウオツカのマティーニをくれ。ステア(軽くかき混ぜること)ではなくシェークで」という彼の注文は、ジンでつくるのが普通のマティーニをウオツカで、それもシェークしてという意表を突いたもので、「007」シリーズを代表する台詞のひとつで知られる。
ジョンソン医師らは、そんな彼の酒好きぶりについて、映画ではなくイアン・フレミング氏(1908~64年)の原作小説14作のうち、調査に適さない「わたしを愛したスパイ」(62年)と短編集「007号/ベルリン脱出」(66年)の2作を除く12作を熟読。ボンドが飲んだ酒の種類や飲酒の傾向、癖を徹底調査した。