デビュー曲権利切れ
EU理事会は2011年9月に、音楽録音物に関する演奏者とレコード製作者の著作権保護期間を、既発表であることを条件に現行の50年から70年(米国では95年)に延長する新法を可決した。理由は「演奏家はたいてい若いころから活動しており、50年では生涯にわたる保護を与えられないことが多い」というもので、今年から発効した。この法律は英国では、制定を強く働きかけた英歌手、クリフ・リチャードさん(73)にちなみ、「クリフ法」とも呼ばれている。
ビートルズが1962年10月に発表したデビューシングル「ラヴ・ミー・ドゥ」(B面は「P.S.アイ・ラヴ・ユー」)は昨年でリリースから50年がたち、新法の発効前だったため、著作権が切れ、EU圏では誰でも自由にコピー、再利用できる状態になっている。63年に発表された「プリーズ・プリーズ・ミー」は新法に基づき、自動的に2033年まで著作権が保護されるが、この年に録音された未発表の音源は、今年中に発表されない限り、著作権は延長されない状態になっていた。
新法は1960年代前半にデビューしたアーティストたちの音源に影響を及ぼしており、62年にレコードデビューしたボブ・ディランさん(72)も昨年12月、未発表音源86曲からなるボックスセットを超限定で販売した。
これから数年は毎年、ビートルズなど歴史的アーティストのレアな未発表音源の“蔵出し”が続くのかもしれない。