【青信号で今週も】
ウイルス性急性胃腸炎が流行しています。クリニックにも、「昨日までは元気だったのに、今朝、会社で働いていたら急に寒気がして…。吐き気と下痢で早退してきました」といった症状の患者さんがいらっしゃいます。急性胃腸炎を引き起こすウイルスにはいくつかあります。その中でも、ノロウイルスが有名です。
ノロウイルスは、米国のノーウォーク(Norwalk)という地域で集団発生した胃腸炎の小学生の便から発見されました。当初、地名から「ノーウォークウイルス」と命名されましたが、似たような小型で球形のウイルスが相次いで発見され、「ノーウォーク様(よう)ウイルス」(Norwalk-like virus)と呼ばれるようになりました。現在では、これらをまとめてノロウイルス(norovirus)と呼ぶようになっています。つまり、ノロウイルスは類似の胃腸炎ウイルスの総称です。
吐瀉(としゃ)物などに含まれるウイルスが飛散したり、手についたウイルスが食品などに付着して、体内に取り込まれて感染が広がります。特に嘔吐(おうと)発作は強烈で、我慢できない嘔吐が急激に始まります。室内や路上に散乱した吐瀉物は空気が乾燥していることもありホコリとともに飛散しやすく、アウトブレークしていきます。発熱は初日だけのことが多く、その後、つらい消化器症状が続きます。