英国・首都ロンドン中心部のウエストエンドにある「アポロ劇場」【拡大】
クリスマスの祝祭気分に包まれた満席の劇場が一転、悲鳴に包まれた。世界的にも有名な劇場が集まっているロンドン中心部のウエストエンドにある「アポロ劇場」で12月19日午後8時(日本時間20日午前5時)すぎ、演劇を上演中に天井の一部が突然崩落し、落ちてきた破片などで観客ら76人が負傷した。うち7人が重傷だが、命に別条はないという。事故発生時、劇場内には目の前が見えないほど粉塵(ふんじん)が充満し、出口に観客が殺到。ドレスや顔を真っ黒にして逃げ出した観客らは「クリスマスを前に楽しもうとやって来たのに、信じられない」などと話し、華やかなネオンに照らされながら脅えた表情を浮かべた。
きしむ音…老朽化か
アポロ劇場は1901年に建設された著名な劇場(32年に改装)で、重要建築物に指定されている。崩落の原因は不明だが、警察当局は建物の老朽化との関連を調べている。観客の何人かががれきの下敷きになったが、全員救出された。在英日本大使館は「邦人が巻き込まれたとの情報は入っていない」としている。
英BBC放送などによると、崩落時は、英演劇界で最も権威がある賞のローレンス・オリヴィエ賞最優秀プレイ賞に今年選ばれたミステリー「夜中に犬に起こった奇妙な事件」が上演中で、観客席が4階に分かれた劇場内は約720人の観客でほぼ満席だった。観客らは、事故発生前に何かがきしむ音を聞いたと話し、当初、崩落を演出の一部だと勘違いした人もいたという。