日本からすれば、韓国の遺憾表明は言いがかり以外の何ものでもない。しかし、韓国には日本がこの件を利用して、軍事的役割を拡大しているように、本当に見えるのだ。国際社会が急速に新・帝国主義的傾向を強めている。日本もその中で生き残りを図るために日本版NSCを創設した。NSCは、日本の安全保障にとって究極的な状況が生じたときに、力による問題解決を決断できる機関だ。NSCで銃弾供与が決定されたため、このようにして日本が武器供与を急速に拡大していくのではないかと、韓国は邪推しているのだ。
こういう誤解を解消するために、日韓のハイレベルでの信頼関係をきちんと構築しなくてはならない。日本と韓国は、政治指導部が国民の選挙によって選ばれる民主主義国だ。共産党により政治権力が独占された中国とは基本的価値観を異にする。南スーダンにおける日韓の軍事的連携の強化は、対中牽制(けんせい)としても大きな意味をもつ。それが、政治的なミスコミュニケーションの欠如によって阻害されることは、日韓関係だけでなく、日米関係にも悪影響を与える。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優/SANKEI EXPRESS)