私は初めて訪れた人なのに、奄美大島の人たちは来る人を拒まない。歴史や風土がそうさせているのかもしれません。私は(父母と離別し、母のおば夫婦に育てられた)自分の生い立ちからしても、自分より上の親世代とは血はつながっていても、精神的な一体感という意味で、どこかつながっていないような感じを抱きながら育ってきました。だから、奄美大島で出会ったおじさんが親戚とはいえ、全然知りもしない私に「お帰り」と言ってくれたことがすごくうれしくて。
こういう人たちの文化はどう培われてきたのだろうか。笠利地区の行事にはどんなものがあるのかを聞いていくと、「八月踊り」とか、「種下ろし」とか、集落でつながっていくものがいっぱいあって、本土が失いかけているものなんだなあと感じました。
本土の人々は、効率性を重んじる経済優先の社会の中ですごくスマートに生きているようではあるんだけれど、心の中はすごく寂しくて、祭りごともどんどんなくなっていく感じ。私は奄美大島に学ぶというか、自分がライフワークとしてきた古来の日本の豊かさに学んでいきたいなという思いで、映画の撮影を決断しました。
(取材・構成:高橋天地(たかくに)、津川綾子/撮影:写真家 別府亮/SANKEI EXPRESS)