サッローム監督がDAMと出会ったのは大学院在学中の2002年。たまたま聴いていたラジオにゲスト出演したイスラエルの映画監督、ウディ・アローニがDAMの「Who’s the Terrorist?」を紹介した。サッローム監督は「衝撃を受けました。だって、パレスチナ人がヒップホップをやるんですよ。私はさっそくその曲をインターネットでダウンロードして、英訳の歌詞と、とても米国のメディアでは流れないようなインティファーダ(パレスチナ人の民衆蜂起)の映像をモンタージュしてミュージックビデオを作ってしまいました」。
ヒップホップを通して
クラスメートに見せたところ、反応はすこぶる良かった。サッローム監督が驚かされたのは、アラブ人への誤解を解こうと映画を撮り続けてきたサッローム監督に対し、「政治的すぎる」と常に批判的だったクラスメートの一人が好意的な態度を示したことだった。「言葉はアラビア語であっても、彼らが大好きなヒップホップだったからですよ」。サッローム監督はこう考えた。その後、4年半をかけて完成させたのが本作だ。