コケティッシュな歌声
一方、華やかなオペラ界からシャンソン界に飛び込んで話題になったのが、ナタリー・デセイ。世界中を飛び回るプリマドンナとしての地位を捨て去り、ポピュラー歌手へと転向したのは、やはり「歌」の力に魅せられたからだろう。そんなデセイが最初に選んだお相手が、フランスを代表する作曲家兼ピアニストのミシェル・ルグラン。数々の映画音楽で知られるメロディーメーカーだけに、共作アルバム「ミシェル・ルグランをうたう」は、生まれ変わったデセイをアピールするには申し分のない作品となっている。「ロシュフォールの恋人たち」や「シェルブールの雨傘」といった映画の名曲を多数取り上げているが、やはり耳に残るのはコケティッシュな歌声とフランス語の響き。思い切ってオペラ唱法を封印しただけの価値がある作品集に仕上がっている。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)