7人くらいで、毎年同じ曲ですが、とても縁起の良い感じに威勢良くたたかれます。そして演奏が終わると、いよいよ中曽根眞南(しんなん)ご住職によるごあいさつがあり、立派に裃(かみしも)を着けさせていただいた私と弟子たちが写真のようないで立ちで豆をまくわけですが、結構な量の豆をまきます。しかも平澤寺のお豆はちゃんと「福豆」と書かれた袋に入れられているのでとても綺麗です。そこへリボンを付けた五円玉、紅白饅頭、五円をかたどったチョコレート、紅白のサイコロキャラメルなどを大きな升に入れて力の限りまき続けます。「福は~内!」「福は~内!」。「鬼は外!」は言わないですね、ここのお寺では。とにかく、後ろのほう、遠くのほうにも手を振っているお客さまがいるから、そこに届くように、次の日に肩が筋肉痛になるのもいとわず投げ続けるのです。ですが気付くと前のほうでも「か~ろくしゃ~ん!」と、目が血走って鼻水垂らしながら必死に叫ぶ、おばちゃんやら子供たちがいる。他人(ひと)より多くの豆をもらおうと亡者の叫びを見るかのような、すごい熱気なわけです。そこへ上からジャンジャン豆をまいていくと自分が権力のある偉い人物になったような錯覚を覚えます。毎年そうしてまかせていただき、なんでこんなにも普段おとなしい草食系な静岡県人が肉食系に変貌するのかと考えましたら、理由が僕なりにわかりました。