日本で一番宇宙に近い場所で、朝焼けがうっすら霞み、山頂の鳥居の上には北斗七星、そして周りには無数の星が怖いくらいにまたたいている。星空と朝日が一緒に見える不思議な景色。雲の切れ間に街灯りが揺れる。夜と朝、宇宙と地球、異次元との境界線。この世とは思えない崇高な時間。ここは特別な場所だと感じずにはいられなかった。
そして、とうとう朝日が昇ってきた。これまた太陽に一番近い場所で、強烈な光に照らし出され、すべてが露(あら)わになる。歯が鳴るほど寒いのに、とんでもない日差しが照りつけ、水蒸気が上がる。逃げ場もない。何を撮っても全部が映る。その後、下山の途中で僕は、降り注ぐ紫外線にコテンパンにやられてしまった。
なぜ富士山は、長い時間を経て、人々の心象風景になりえたのだろうか。富士山に登り、大自然の中に身を投じることで、自分と向き合い、対話することができる。まさに修行の場だ。