人の話を聞くのが何より好きだ。バーをオープンしたのも、ワイワイ集まって、いろんな人の話を聞きたかったから。「取材したからこそ出会える、自分の想像力だけでは書くことができない面白さがある」
その“面白さ”は本書にも光る。7年以上植物状態の妻を介護する男性の「生まれ変わっても、同じ相手と結婚したい?」という問いへの答え。車いすの男性の恋愛観。ネタバレになってしまうので割愛するが、いずれも「目からウロコ」のセリフだ。
“仮説”への解は出たのだろうか。答えの代わりに、あとがきの冒頭に記されたドストエフスキーの名言を引用しよう。《愛情があれば、幸福なしでも生きていける》。「僕たちは幸福になるために愛するわけではない。愛したいから愛するだけなのです」(塩塚夢、写真も/SANKEI EXPRESS)
■こえぬま・かずゆき 1980年、東京生まれ。ジャーナリスト、新宿・ゴールデン街のプチ文壇バー「月に吠える」(bar.moonbark.net)マスター。通信会社での社内報制作、広告代理店勤務を経て、2009年にフリー転向。本作が初の単行本となる。