米カリフォルニア州サンフランシスコで、アパートやマンションが軒を連ねる通りを歩く女性。家賃高騰によって、高額所得者以外が“霧の都”に住むには、シェアかウサギ小屋しかなくなりつつある=2014年3月17日(AP)【拡大】
「ウサギ小屋」化
家賃高騰や交通渋滞の悪化を受け、IT企業や社員らを非難する市民の抗議行動が相次ぎ、昨年(2013年)12月にはグーグルが走らせている通勤バスを住民が取り囲み、「住居を奪うな」「出て行け」などとシュプレヒコールを上げる“事件”も起きた。このためサンフランシスコ市当局は、今年に入ってグーグルなどの従業員用バスの停留所使用を有料化。20年までに、手頃な価格帯も含めた住宅3万戸の建設を目標に掲げた。
だが、グーグルやアップルは社屋の拡大を計画しており、住宅供給が全く追いついていない現状では、家賃や住宅価格の高騰が当面続くのは必至だ。
サンフランシスコとは背景がやや異なるが、家賃の急激な高騰は、経済的に疲弊した地方から大量の求職者が流入している米国の他の主要都市でも起きている。最近では、「マイクロアパート」なる新語も登場し、日本ではワンルームに当たる20~25平方メートルの超狭いアパートの建設が大都市で進んでいる。
こうした事情を反映し、ニューヨークでは近く、マイクロアパートのデザインコンテストが行われる予定で、西海岸のシアトルでは市当局が急遽(きゅうきょ)、48棟(約2300室)のマイクロアパートの建設許可を出した。
かつて米国は、日本の狭い住宅事情を「ウサギ小屋」などと揶揄(やゆ)したが、急速に進む都市化の波の中で、米国でもウサギ小屋が標準化されようとしている。(SANKEI EXPRESS)