パリ録音の『ベル・エキセントリック』はパリ郊外のシャトー・スタジオに全員集って制作。一見豪華だが、同封の本に掲載された当時のスタッフの貴重な発言を読むと、設備面をはじめ、相当タフな環境と状態で進められたようだ。
一つ一つの曲に込められた世界観がまるで絵画のように優雅で、それは私がいつも感じていた加藤和彦のダンディズムそのものなのだが、その背景にはヒートアップすることが多々あったらしい。
最後にレコーディング・エンジニアとして参加していた大川正義の言葉を。
「いつも何か新しいことにトライする。この『ベル・エキセントリック』の時は空間がテーマでしたが、加藤さんはそれを消化すると次に行ってしまう。消化するまでの追求度、そのすさまじさはこれまで語ったとおりです。ぜひとも10代、20代の若い人にこそ聴いていただきたいです。読み継がれる本ならぬ、聴き継がれる音楽ですよ」(音楽ジャーナリスト 伊藤なつみ/SANKEI EXPRESS)
■かとう・かずひこ 1947年京都に生まれ、生後すぐに鎌倉へ。60年代後半から70年代半ばまで斬新なアイデアによるバンド活動で注目され、ソロになってからは安井かずみが94年に亡くなるまで、作詞作曲コンビで数多くの曲を発表。自身の活動のほか、映画音楽や「スーパー歌舞伎」などの舞台音楽でも多くの楽曲を制作した。2009年死去。