マニラ首都圏から高速道路を経て車で2時間余り。旧米海軍のスービック基地に隣接し、基地と盛衰を共にしてきたオロンガポ市のロレン・パウリノ市長(51)は、新軍事協定が地域に与える経済効果に期待を込めた。
協定に盛り込まれた米軍の新施設をどこに設けるかは、今後の両国間協議に委ねられている。だが、市長室には米海軍の将官が表敬に訪れ、「地ならし」が始まっているという。
スービック湾は水深が深い入り江にある天然の良港で、米海軍がフィリピンの旧宗主国スペインから譲り受け、ベトナム戦争の出撃拠点となるなど、約90年間にわたって活用してきた。
オロンガポ市の歓楽街は米兵でにぎわったが、1992年の基地返還で状況は一変。飲食店などが閉店に追い込まれ、約1万人が仕事を失ったという。米海軍が戻れば、飲食業が復活するほか、出稼ぎのため海外に出てしまった優秀な港湾労働者たちも戻ってくる。
反対意見もある。協定が署名された4月28日には、市内で数十人が「米国の言いなりになるな」などと抗議活動を行ったという。2002年以降はフィリピン軍への対テロ支援で米海軍の寄港が再び増え、08年には地元女性が米兵にレイプされたと訴え出る事件も起きた。