【かざすンAR(視聴無料)】映画「ブルージャスミン」(ウディ・アレン監督)。5月10日公開(樂舎提供)。(C)2013_Gravier_Productions,Inc.【拡大】
“演劇的過ぎる”一歩手前ギリギリのところで抑えられたブランシェット(44)の演技が圧巻である。元々舞台出身の女優だが、世界中の名だたる監督たちの映画に出演する今もスクリーンと舞台を往還しながら役者としての精進を怠らないストイックな姿勢には頭が下がる。不幸と下品を寄せ集めたようなキャラクターを演じてもそこに気品があり知性がにじみ出る。が、それは決して物語の邪魔をしない。“壊れた”女を見ていた筈の私がいつの間にかジャスミンと自分の共通点を見つけ、共感したりヒリヒリしたり。そして周りの人間のズルさも見えはじめ、不器用なジャスミンと一緒にウオツカを飲みたくなったりもする。
悲惨でもすがすがしい
ウディ・アレン監督(78)の多くの作品は、群像劇のように出演者全員に“スポットライト”があたり「世界はちょっと変な人たちが絡み合って出来てるんだよ」と言わんばかり。でも今回はジャスミンにピンスポットが当たりっぱなしな感じだ。最初からの演出意図なのか、偉大な女優がそうさせたのか想像しながら見るのも楽しい。「欲望という名の電車」の現代版?という思いは吹っ飛び、ただただ「ブルージャスミン」に酔いしれた。女を苦労させ、女で苦労したはずのアレン監督、“高い授業料”の元を取る術は是非とも見習いたいものだ。