人間の恐怖に変わる
角川ホラー文庫はそのジャンルの名作の宝庫といえますが、今でも折にふれ再読するのは、『私の骨』(高橋克彦著)です。こちらは7編収録の短編集になります。
短編ならではの余韻に満ちた作品集で、これでもか、これでもかと、怖さの爆弾が投げつけられるホラーとは少々趣を異にします。じっと抑えた感じというのでしょうか。最初は紛れもなく私たちの日常であるのに、そこからひたひたと少しずつ浸水していくように、真綿で首を絞められるように、恐怖の濃度が濃くなっていきます。主に東北を舞台にした作品で構成されているのも、絶妙なリアリティーです。見知った地名の中に、土着的な風習や言い伝えの謎などを絡ませ、思わず地図を確認したくもなります。