小保方氏はこれまで主要論文の取り下げに同意してこなかったが、ノーベル賞受賞者でもある理研の野依良治(のより・りょうじ)理事長(75)に論文撤回を勧告されたことは重く受け止めていたという。また、所属している理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)での検証実験に参加し、細胞の存在を証明することを望んでおり、論文を撤回しなければ「実験に参加できなくなるかもしれないという重圧があった」(三木弁護士)という。
最近の小保方氏の様子について三木弁護士は「4月の入院以降、質問に無言だったり、『分かりません』と答えるなど思考が止まることがある」と述べ、精神的に追い詰められ判断能力が低下していると指摘。撤回判断が主体的に行われたかについて疑問を呈した。
主要論文はSTAP細胞の作製法や万能性を記述したもので、細胞の存否に関わる研究の根幹部分。理研の調査委員会が小保方氏による不正を認定した。
理研は共著者8人に撤回を勧告したが、ともに責任著者である小保方氏と米ハーバード大のチャールズ・バカンティ教授の2人が反対していた。撤回には共著者または責任著者の全員の同意が必要で、バカンティ氏は共著者らと撤回についての協議に応じ始めた。