夏至の日、黄昏時のヤハラヅカサの海の向こうに現れたスーパーフルムーン。太陽の光を照り返し、いつもより一段と大きく見える。石碑は満潮時には水面に隠れ、干潮時には全貌を現す。向こうに久高島も見える=2013年6月23日、沖縄県南城市(井浦新さん撮影)【拡大】
この日は夏至とあって、僕はいつものように太陽を気にしていた。仕事を終えて、慌てて車を走らせた先は、沖縄本島の東、太陽が沈む方向とは正反対の浜川原海岸だった。日没にはギリギリ間に合ったが、満潮とあって、「ヤハラヅカサ」と記された石灰岩の石碑が水面に沈んでいた。干潮時でなければ近くまで渡ってその姿を拝むことができない。澄み渡った空気、水平線。何もないからこそ見えてくる美しさ。そして海の向こうに現れたのは、光り輝く大きな満月だった。夏至の太陽の光を照り返したスーパーフルムーンは、静かであると同時に、あまりにも厳かだった。
≪神聖かつ穏やかな力に満ちた地≫
札幌出身で沖縄在住の写真家、武安弘毅(たけやす・こうき)さんは、「真夜中写真部」という、深夜に写真や映像を撮る面白い試みを続けている方だ。後日、改めて沖縄を訪れた際、旧知の間柄である武安さんに、「真夜中の聖地に連れて行ってほしい」とお願いした。「君なら、きっと興味深く感じると思うよ」と、連れて行ってくれたのは、那覇から車で1時間ほどの距離にある浜比嘉島(はまひがじま、沖縄県うるま市)だった。なんとそこは偶然にも、アマミキヨが琉球王朝のノロとして祭祀(さいし)をつかさどりながら、人との交わりを遮断され、居住地として限定された場所でもあったのだ。